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2023/2/1 その他 IML Track13 シャングリラ

 

 

風は見えなくても風車は回る

音楽は見えなくても心に響く

J.S.バッハ

 

 

 

 

 

Track13 シャングリラ

 

「シャングリラ」と聞いて皆さんはどの曲を思い出しますか?電気グルーヴ、蒼穹のファフナー(angela)、シャネルズ…たくさんの方が同名曲をリリースしていますが、今回ご紹介するのはチャットモンチーさんのシャングリラです。

ディスコティックなベースと軽快なドラムの音が印象的な曲です。ボーカルの橋本絵莉子さんの歌詞の乗せ方、リズム感が、特徴的でとても良いんです。メンバー3人全員が作詞できて、この曲はドラムの高橋久美子さんが作詞をしています。

もともと「シャングリラ」とはジェームス・ヒルトンの、小説「失われた地平線」(1933年刊行)に由来する理想郷のことで、現世のわずらわしさから解放された穏やかな世界=「この世の楽園」を意味する言葉ですが、この曲では「シャングリラ」=「君」ということで人名として扱われています。

 

サラッと聴くと恋愛ソングのように思えます。女の子は携帯を川に落とした(あるいは意図的に捨てた)ことで、彼氏との関係への悩みをメリーゴーランドみたいにグルグルさせるけど、結局歩いているうちに自己解決する。恋愛なんてなるようにしかならないか、こんなマイナス志向な私だけど、そこも含めて愛してくれっ!その悩みや決断の部分が『♪シャングリラ~』の前に出てくる変拍子、5/4拍やコード進行で見事に表現されています。

しかし、『働きマン』のエンディングテーマということを考えると単純な恋愛ソングではないと解釈することもできます。漫画「働きマン」の概要は、一所懸命に働く人に、男も女も関係ない。登場人物を通して「仕事」とは、「働く」とは何なのか、をテーマに描いた1話完結ものです。主人公:松方弘子は28歳独身、週刊『JIDAI』編集部の女性編集者です。弘子は編集長・上司・同僚たちと一緒に右往左往しながらも良い雑誌を作るために日夜奮闘します。寝食を忘れ、恋人との時間もままならず、ジレンマに悩み、誰かとぶつかり…。それでもいい仕事をするために、弘子は職場で、取材で、そして自宅で、「働きマン」になるのです。主人公だけではなく、魅力ある登場人物がそれぞれの立場でそれぞれの「働きマン」になるので、たとえ主人公に共感できなくとも他の誰かには共感できることがあると思います。

そういう観点で歌詞を見ると「シャングリラ」=「君」=「自分」と捉えることができます。この先の道に光がなくとも、大切なのは自分自身の道を歩むことであり、そこに他者がとやかく言うこと(携帯電話)は介在させません。不器用な自分を応援するのは自分自身なんだ、という自己肯定のおまじないのようです。意地っ張りで、うまく笑えない(=周りに合わせられない)、そんな自分のことも自分は愛するよ、今のままで大丈夫だよ、というメッセージに聞こえてきます。

面白いのは、そのときの聞き手の状況によって、君=自分なのか他人なのか違って聞こえてくることです。テンポや語感が心地よい良曲であることには変わりないので純粋に盛り上がるも良し、恋愛モードで弾けるも良し、頑張る自分を鼓舞する応援ソングとして聴くも良し、是非チャットモンチーの世界へ飛び込んでみて下さい。

 

 

 

 

チャットモンチー「シャングリラ」、いかがでしたか?

2008年4月1日に行われた日本武道館での演奏です。3ピースとは思えない癖になるサウンドと完成度。かわいさと実力を兼ね備えた圧巻のパフォーマンスです。

 

 


チャットモンチー

2000年4月に結成されたガールズロックバンドで、何度かのメンバー変更を経て2018年7月にその活動を「完結」。シャングリラは、2006年11月15日、CX系アニメ『働きマン』エンディング・テーマとして発表。この曲でオリコンシングルチャートで初のトップ10入りを果たし、チャットモンチーという名を広めるとともに、最大のヒットシングルとなった。
 

 

 

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