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2023/4/10 その他 IML Track15 Blessa

 

 

風は見えなくても風車は回る

音楽は見えなくても心に響く

J.S.バッハ

 

 

 

 

 

Track15 Blessa

 

第15回目となるIMLは「チルウェーヴ(Chillwave)」というジャンルを紹介します。

まず、ダウンテンポの音楽のジャンルの1つである「アンビエント(ambient)」があります。アンビエントを直訳すると”環境”です。環境破壊などの環境(enviroment)とは違い、あくまでも自分の周りにあるもの、という意味合いでの環境(ambient)という意味です。つまり、アンビエント・ミュージックとは、その場の環境を演出するための音楽である、といえます。例えば、ホラーゲームなどで緊張を促すために心臓の鼓動音を流してみたり、恐怖を増大させるためにうめき声やお経なんかを流す演出(音楽)は「恐怖を促すアンビエント・ミュージック」と言えますね。この 「○○を促すアンビエント・ミュージック」 の○○の中に入るものは数多くあります。その中で、「くつろぎを促すアンビエント・ミュージック」が「チルアウト」と呼ばれるジャンルになります。

いつくつろぐのか?それは主にクラブのダンスフロアで火照った時です。大音量・重低音のハードコアな曲をダンスフロア内で聴き続けたことにより、慣れでマヒしてきた耳と、張り詰めた神経をいったん冷却して落ち着かせるために、クラブ内には”チル・ルーム”なる涼しい部屋があるそうです。このチル・ルームには寝心地のいい長椅子や気持ちのいい枕が用意され、やすらぎを演出する照明に加え心地の良いチルアウト・ミュージックまでもが流されているのです。近年、SNSで10~20代を中心に「チルい」「チルってる」という言葉が使われているのを頻繁に見かけますが、語源はこのチルアウトという音楽ジャンルからです。

このチルアウトから派生してできたジャンルが「チルウェーヴ」なります。チルアウトの持つ「気持ちが高揚する曲を聴いて消耗された心身を落ち着かせる」という特徴に「乗れる」「踊れる」要素を足したものになります。チープな打ち込みをバックにノスタルジックなメロディーを乗せ、強烈なレイドバック感のあるシンセポップが展開されます。多くのチルウェーヴ・アーティストは、リバーブが深くかけられたもやもやとした音像、エフェクトのかかったボーカル、浮遊感のあるシンセサイザーのループ、ニュー・ウェーヴからの影響が濃いディスコティックなビートなどを織り交ぜ、幻想的・耽美的な音世界を構築している、とされています。

曖昧な表現になってしまうのは、チルウェーヴのアーティストや曲によって共通点があまり見られないからです。というのも、チルウェーヴは2000年代後半に生まれた、かなり新しいジャンルなんです。ロックとかジャズとかと比べてしまうと、チルウェーヴと括られるアーティストの人数がものすごく少ないので、ちょっとバラバラっとしている印象というか、ジャンルの定義自体が曖昧で幅が広いんですよね。そして、実はこのジャンル、2010年代に入るところから、徐々に廃れていきます。理由としてはチープな音色があまり受け付けなくなってきたこと、ブロガーやジャーナリストから批判されるようになったことなどが挙げられます。また、一時期チルウェーヴを志望するアーティストが増えすぎてしまい、音楽自体も飽和状態になりました。

こうしてチルウェーヴは廃れていったジャンルではあるのですが、今もなおインディーズシーンでは一部に根強い人気があります。また、チルウェーヴから派生したヴェイパーウェイヴという新しいジャンルは2012年頃よりインターネットで爆発的な広がりを見せています。そこからさらに派生したローファイヒップホップというジャンルは2016年ごろより流行し、YouTubeの生配信という独特のフォーマットで主に聴かれています。日本のアニメのアートワークを用い、また楽曲自体もアニメのサウンドトラックをサンプリングしたものが多かったために、日本のインターネットでも徐々に知名度を上げています。

と、ここまで「チルウェーヴって何?」ということについて長々と語りましたが、簡単にまとめると、 落ち着きつつ、ゆったり踊れる曲です。今回はチルウェーヴの代表的なアーティストであるトロ・イ・モアさんの「Blessa」を紹介します。

 

 

 

 

 2009年10月にリリースされたセカンドシングルです。浮遊感極まりないソフト・サイケデリックポップ…ユラユラと揺れる音像の中を漂う、芸術性に優れた極上のトロピカルお昼寝ミュージックですね。

 

 


トロ・イ・モア(英: Toro y Moi、本名: チャズウィック・ブラッドリー・バンディック)は、1986年生まれ、アメリカ合衆国のミュージシャンである。その音楽性は多岐にわたるが、チル・ウェーヴとみなされることが多い。彼のアーティスト名はスペイン語で「牛」を意味するToro、「and」を意味するY、そしてフランス語で「私に」を意味するMoiという多言語からなる。
 

 

 

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